体育会系ノリの営業系職場で、今日も心を鬼にして、部下に厳しく指導にあたる。
無理をして威厳を保っているけど、本当はドMで責められ好き。
そんな葛藤と戦い続ける日々。身体も心も疲れ切った状態で家路に着く。

でも、今日は違う。月に一度、楽しみに待っていたこの日。この日のために生きている。
妻には定例会議で帰りが遅くなると言ってある。

いつもの立ち食いそば屋で、いつものメニュー。肉そばネギ抜き。
ネギを抜くのは女の子に対するエチケット。
手早く食事を済ませ、足早でいつものM性感の店に、いつもの時間に向かう。

風俗情報誌、スポーツ新聞、風俗情報サイト、無料案内所、すべて要らない。

いつもの店に、先週から予約を入れてある。スレンダーで小悪魔的な雰囲気の女の子。
月に一度だけど、もう2年近くは通っている。けれど名刺はもらわない、まして、連絡先を聞くなんてもっての外。
お店だけの関係、それが紳士の風俗遊び。

予約した時間より早めに着くのは社会人としての常識。でも30分前はさすがに早過ぎか。
店に入って待合室で待つか、外で時間をつぶして程よい時間に再び来るか迷う。
1週間前から予約した上に、時間よりも30分も早く来た客なんて、がっついてる感が凄すぎて店員が引くのではないだろうか。そんな客が来たことがあの子に伝わったら、私はあの子にどんな目で見られるだろう。性に貪欲だと思われ、軽蔑したような目で見下されるに違いない。そうだ、きっとそうだ。うん、悪くない。悪くないぞ。「見下し」なんてオプションにもないプレイが期待できる。と、店に入ることを決めた時には既に30分が経過していた。
目隠しのための観葉植物が幾つか置かれた入口の自動ドアを抜けると、
「いらっしゃいませ!」
と、元気な声に迎えられて、いつものように受付けを済ませ、いつものようにプレイを終えて、いつものように帰宅。

翌日からはまた鬼上司を演じる日々。